
マツダが新しい先進運転支援システムである「MAZDA CO-PILOT CONCEPT」を発表しました。一般的にADASでの技術開発では、ドライバーとの協調を図りながらも、システムがメインで動いてドライバーの負担を軽減するというのが、主流となっています。
そもそもマツダのフィロソフィーとして、どのような時代になっても「運転する喜び」「人馬一体感」を忘れないというのがあります。安全技術についてもエアバッグや運転姿勢、良好な視界確保など、基本部分をしっかりと確保したうえで、独自の先進安全技術を開発・搭載していくという流れを取っています。
安全性の向上という点でマツダが注目しているのは、交通事故での死亡重症事故件数は減っているものの、運転中に眠気を感じるドライバーは78パーセントに上ったり、発作や急病といった体調の急変への対応が求められているということです。また、体調の急変は95.8パーセントが、時速60km以下で起きている点についても、重要視しています。
マツダが今回発表した「マツダ・コ・パイロット・コンセプト」では、基本技術や先進安全技術からさらに一歩踏み出したものとなっている点に注目です。掲げているのは「人の状態からのアプローチ」で、人の状態検知によるリスクの軽減としています。コ・パイロット、つまり副操縦士という名称が示すように、あくまでも側で見守ってくれるパートナーのような存在というのがコンセプトで、従来のものとはその方向性は異なっていると言っていいでしょう。もちろんマツダがこだわる運転する楽しさはそのままです。

「マツダ・コ・パイロット・コンセプト」で前提としているのは「ドライバーを選ばない」「特別な操作が不要」「一般道でも作動」ということで、つまり普通に運転していれば自然に車両側で対応してくれるということになります。
まず、問題のない状態では、「マツダ・コ・パイロット・コンセプト」はドライバーの状態や操作を解釈することで、体調や操作をモニタリングしています。これが居眠りや体調不良など、なにかしらの理由で操作に違和感が出た場合、警告を発します。さらに人の状態にも異変が起こると、ドライバーの代わりに運転を行ったり、緊急対応といった高度運転支援を行うというプロセスとなっています。
具体的にドライバーのどういった状態をモニターしているかですが、視線と頭部の挙動、ステアリングやペダルの操作量、姿勢の崩れなどで、通常時の比較して総合的に判断します。
また、ドライバーに異常が発生しているについての対応ですが、運転できない状態であれば、システムが運転を交代しながら、ハザードランプやホーンによって、外部に異常を知らせながら、安全な場所に停止させます。
技術的には「ドライバーの状態を検知する技術」「コ・パイロットHMI仮想運転技術」「ドライバーの異常に対して退避や停止させる技術」の3つがコア技術が使われているとのことです。


実用化については「MAZDA CO-PILOT 1.0」として、2022年から採用を開始するとしています。1.0ではドライバー検知機能では「異常自動検知」と「居眠り検知」として、一般道では減速停止、車線維持。高速道路では減速停止、車線維持を行います。
3年後の2025年にはさらに進化した「MAZDA CO-PILOT 2.0」の採用を予定しており、異常を感知する以前のレベルとして予兆検知技術を導入して、高速道路では車線変更や路肩、非常停止帯への退避が可能になって、一般道でも退避技術が向上するとのことです。
今回のこの技術の背景には、運転することでの心と体の健康維持や、過疎地で交通サービス空白しても、安心して、そして楽しくいつまでも運転できるようにアシストしたいという願いも込められています。
