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JKK東京(東京都住宅供給公社)と群馬大学は、高齢化が進む郊外型の団地での移動支援サービスの検証を目的とした共同研究について契約を締結したと発表しました。これを受けて、令和3年10月に町田木曽住宅地域において、自動運転車両を活用した実証実験が実施されます。

町田木曽住宅
町田木曽住宅地域

背景にあるのは、郊外型のJKK住宅では、入居開始から40年以上が経過したこともあり、当初入居した世代が一斉に高齢化しています。特に問題なのが大規模な団地で、各棟から団地内にある商業施設やバス停等への距離が遠いことで、移動が難しい高齢者が外出を控えることにつながっています。つまり「距離のバリア」とも言える状態を生み出していて、団地内における外出機会の創出が課題となっていることがあります。

JKKでは初の試みとなる今回の実証実験では、自動運転車両を使うことで、高齢者の移動を自サポートするのはもちろんのこと、購入した日用品等の配送をアシストしたり、外出のきっかけとなるイベントを開催する等で、外出機会を支援します。この実験を行うことで、団地内における自動運転の安全性や受容性、移動支援に関するニーズ、自動運転と生活関連サービスの連携可能性といった、将来の事業化に向けた検証を行います。

JKKは実験全体の進行統括を行い、群馬大学と、群馬大学発のベンチャーである日本モビリティが自動運転車両を提供して、管理します。運行については町田木曽地域の地元交通事業者である神奈中グループが自動運転車両を運行します。さらに、町田木曽住宅で生活サービス拠点の開設を予定しているヤマト運輸も外出を支援する生活関連サービスを提供します。この実験にかかる事業費の一部は、東京都が負担します。

JKK東京×群馬大学 実証実験 協力図

自動運転車両については、レベル2の車両を使用して、ドライバーが乗車して必要に応じて手動運転を実施します。運行方法はあらかじめルートおよび乗降場所(25か所程度)を設定して、利用者の希望する時間や乗降場所間を走行する予定です。乗車方法については電話もしくは対面受付による予約制(無料)となっています。

JKK東京×群馬大学 実験車両イメージ

ヤマト運輸が実施する生活関連サービスの概要ですが、下記となります。

  • 車両への乗降支援
    ひとりでの外出に不安のある高齢者でも安心して乗車できるように、ご自宅と乗降場所との間の移動を、手荷物の運搬、先導、声掛け等でのサポートを実施
  • 買い物サポートサービス
    乗車した方の団地内商店街での購入品を自宅までお届け
  • イベントの開催
    外出の目的となるイベントを実施(脳活性化エクササイズ、フラワーアレンジメントなどを予定)

大規模な団地での過疎化は社会問題になっていますが、自動運転を中心とした対応策として今回の実験、そしてその結果には注目です。