
トヨタの子会社で、自動運転など、次世代のモビリティについての開発を行う、ウーブン・プラネットは、アメリカのカーメラ(CARMERA)社を買収すると発表しました。カーメラ社はその名称からもわかるように、自動運転実現に欠かせない高精度地図を中心とした次世代道路情報解析に強みを持つ会社で、今回の買収はウーブン・プラネットにとってレベル5の買収に続く、大型買収案件となります。
カーメラは、車両のクラウドソーシングとリモートセンシングを利用して、ストリートレベルの変化を世界的な広さと高解像度で捉えるサービスを提供する企業です。オープンシステムアプローチを採用して、世界の主要な自動車メーカー、商用モビリティ事業者、そして地図生成プラットフォームと連携しています。
ウーブン・プラネットは、その前身となるトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント時代から、東京やアメリカでカーメラ社と協業していて、2018年〜2020年にかけて共同プロジェクトを実施。市販の車載カメラ等を使って、デバイスに依存しない汎用的な情報から高精度地図を生成したり、更新できることを実証しています。
デトロイトでの実証実験 東京での実証実験
買収完了後には、カーメラのチームはウーブン・プラネットの傘下にあるウーブン・アルファのAMP(自動地図生成プラットフォーム)チームと協働を開始する予定です。ウーブン・アルファは事業拡大に向けて新たな戦略領域を探索していて、オープンソフトウェアプラットフォームのAreneやWoven Cityなどの革新的なプロジェクトを進めています。そのなかでも、AMPは安全で快適な自動運転を実現するために重要な高精度地図の生成や更新、そして提供を行うクラウドソース型のソフトウェアプラットフォームとなっています。

ウーブン・アルファは、道路や車線まで含むグローバル規模の高精度地図プラットフォームへとAMPを進化させることで、それぞれの地域に適した高精度な地図を用いて安全な自動運転を支援することを目指しています。
そのため、今回の買収は、高精度地図の開発でトップクラスとなるエンジニアをチームに加えて、研究開発から商業化への移行を加速させるとしています。さらに、地図の更新や変化点の管理、IoTセンシング技術など、カーメラの洗練された技術を活用することも可能となるなど、大きな期待が寄せられています。
今後はカーメラの知見を活かして、クラウドソース型のカメラから取得したデータを活用することで、従来の方法と比較してさらに低コストでスピーディに変化点を抽出して、高精度地図を更新できるようになります。
これによって、AMPでは道路や車線、信号や道路標識などの変化点をほぼリアルタイムで地図に反映することができるようになります。道路の区分や特徴などを包括的に地図に取り入れる機能を強化して、将来的には様々な地域での自動運転の商業化に繋げていきたいとしています。