
UDトラックスは、ドライバーの運転環境を改善することを目的に、フラッグシップ大型トラック「クオン」に、快適で安定したステアリング感覚を実現する「UDアクティブステアリング」機能を搭載し、7月1日より販売を開始しました。
「UDアクティブステアリング」とは、従来の油圧式ステアリングギアの上部に新たに搭載した、電気モーターによる支援機能です。電気モーターに付随する電子制御ユニット(ECU)が、1秒間に約2000回の頻度で様々なセンサーから運転環境を感知して走行方向とドライバーの意図を判断し、あらゆる走行条件下において、ドライバーの運転操作を積極的にサポートするものです。
「UDアクティブステアリング」における5つの主な特徴
1. 低速走行時の軽いステアリング 重量物輸送時でも軽い力で操舵でき、疲労を大きく軽減
2. 高速走行時の直進安定性 スピードに応じて、ステアリングを適度な重さになるよう制御することで、直進 走行時にドライバーの緊張感を軽減
3.不整路走行時の路面状況の影響軽減 路面の凹凸から受ける影響を自動補正し、振動や意図しないステアリングの動きを軽減
4.横風発生時の走行補正 横風の影響によるタイヤの微細な動きを素早く感知し、自動補正で直進走行をサポート
5.後退・右左折時の自然なハンドル戻り 後退時や交差点の旋回時にステアリングは自動でニュートラル位置に戻る
多くの方が大型トラックを運転経験はなく、ピンとこないかもしれません。ここでは、大型トラックやバスの試乗経験豊富な交通コメンテーター西村直人氏に、試乗した感触を伝えていただきます。
運転経験豊富な西村直人氏に聞く
大型トラックでは、空荷と定積(定量の積載)の走行性能に大きな違いが生じることから、それを見越した運転操作が求められます。
大型トラックの車両総重量は、車体よりも重い荷物を積載することで、日本では最大25t程度にまでかさみます。したがって、走行中は絶えずフレームはしなり、さらに路面の凹凸による外乱を受けるため、直線道路であっても細かなステアリング修正舵が必要です。
空荷では定積ほど修正舵を必要としませんが、いずれにしろこの修正舵を与え続ける運転操作は、これまでドライバーにとって疲労困憊の要因でした。

UDアクティブステアリングは、油圧式ステアリングギアの上部に搭載した電気モーターにより外乱に対して自動的に反力を発生させ、進路を乱すステアリングのブレ(=キックバック現象)を吸収します。
同時に、ドライバーの行うステアリング操作を電気モーターでサポートすることで、直進安定性やカーブでのライントレース性を高めます。具体的にどれくらい疲労が軽減するかといえば、直線やカーブを走行している際は-30%程度、荒れた路面では-50%程度まで下がったと筆者には感じられました。
このUDアクティブステアリングは、トレーラーを牽引するトラクターにも装着可能です。牽引状態における後退駐車時はステアリング操作量が大幅に増えますが、UDアクティブステアリングは後退時も働くため快適性が向上します。同時に、プロドライバーであれば得られたゆとりを自車周囲の安全確認へと振り分けることができるので、事故率の低減効果も望めます。
さらに、UDアクティブステアリングにはステアリングを中立付近へと戻すセルフセンタリング機能が織り込まれています。直角駐車時の完了間近に行う、車体を伸ばす運転操作を行う際、ステアリングを握る手の力を緩めると車体の動きに合わせてゆっくりと中立位置へと戻ります。

国内外の二輪・四輪の新車はもちろん、パーソナルモビリティから大型のバス・トラックまで試乗する。大型二種免許/けん引免許も持つ
大型車は乗用車のようにステアリングが戻ってこないのでドライバーが戻す必要がありますが、このセルフセンタリング機能のおかげで忙しい駐車時の運転操作がずいぶんと楽になります。
UDアクティブステアリングによる運転支援は、エンジンをかけてDレンジやRレンジで走行している間は速度や道路環境にかかわらず絶えず機能しているため、長い時間、ドライバーの身体的な負担軽減を行います。
なお現時点、UDアクティブステアリングを装着したUDトラックスの「クオン」には車線中央維持機能はありませんが、車線逸脱抑制機能は装備しています。前走車を追従するアダプティブ・クルーズ・コントロール機能と組み合わせ、アクセル・ブレーキ操作およびハンドル操作の両方が部分的に自動化された状態となることから、自動化レベル2の「運転支援車」として位置付けられます。
詳細については、UDアクティブステアリング特設サイトをご覧ください。
https://www.UDtrucks.com/japan/trucks/new-quon/UDAS