トヨタ紡織の自動運転コンセプト車両「MOOX(ムークス)」

NTTドコモは、2021年の2月12日から19日まで、愛知県にある愛・地球博記念公園(愛称・モリコロパーク)で、XRが体験できる自動運転車両を使って、「新しいモビリティ空間体験」の展示、および 「テーマパークにおけるエンタメ体験型の移動」の実証実験を行うことを発表しました。この実証実験は、愛知県の自動運転社会実装プロジェクト推進事業の一環で、ドコモのほかに、トヨタ自動車、トヨタ紡織、JTBなどが参画します。

XRとはVR(=仮想現実)、AR(=拡張現実)、MR(=複合現実)といった技術の総称で、実験を通してドコモのもつXR技術を活かしたモビリティの新たな価値創造に加えて、テーマパークやスマートシティなどでの新しい移動体験の提供も目指すとしています。

実際の実証実験では、テーマパークにある施設の間を自動運転車で移動することを想定して、ふたつのテーマを掲げています。ひとつ目はトヨタ紡織の自動運転コンセプト車両「MOOX(ムークス)」を使った実証です。ムークスを公園内の大芝生広場を周回するルートで運行させ、車内では走行位置に合わせてARによるゲームやライブを配信します。また、窓に設置された透明ディスプレイにARの映像が表示されて、映像に合わせて座席が振動したり香りが広がったりします。ARの映像は乗客のジェスチャーに合わせて変化するため、インタラクティブな体験が可能です。

その他には乗っている人々の体温や心拍数のモニタリング、深紫外線を用いた自動除菌システムを活用し、最先端の安心・安全な車室環境を提供するとしています。走行中の路面の様子は、ドコモの5Gを活用してリアルタイムで遠方にいる監視者に配信して、自動運転車両の安全運行を向上させることもできます。

夜間になると走行中に車両を用いたプロジェクションマッピングを行います。ムークスに搭載した小型プロジェクターで、車両の走行に合わせてキャラクターを光の中に出現させるプロジェクションマッピングを車両前方に投影することで、技術的実現性とビジネスモデルの可能性を検証します。

ふたつ目は、トヨタの自動運転コンセプト車両「SQUAL(スクォール)」を使った実証となります。移動時間の価値向上だけでなく、車両周辺にあるスポットへの送客やテーマパーク内の回遊促進に取り組むとしています。車内では、乗客を取り囲むように設置された3面の窓型ディスプレーに、ドコモのコンテンツ配信技術とARおよびVR技術を掛け合わせることで、愛知県内の観光施設や観光スポットを投影。まるで観光スポットにワープしたような体験ができます。

トヨタ 自動運転コンセプト車両「SQUAL(スクォール)」 概要イメージ

スクォールへの乗車時には、施設予約やクーポン取得などの疑似体験が可能だったり、車内ではディスプレーからドリンクの注文も可能となっています。オーダーしたドリンクは配送パレットが別途、車両まで配達します。

ドリンク注文画面イメージ

降車後には、愛・地球博記念公園内スポットまでの徒歩移動をより楽しめるよう、位置情報に連動した周辺スポット情報や、XRのエンタメコンテンツを手元のタブレット端末に配信します。

これにより、降車後の徒歩移動中も含めた、XRを利用したモビリティ内外での新たな価値創出の可能性を幅広く探ります。なお、スクォールとムークはそれぞれ、乗客の状態をモニタリングするだけでなく、ディスプレーに映し出されるコンテンツの操作に非接触のジェスチャー方式を採用することで、衛生的な車室空間の提供を行います。

ドコモは、2019年から愛知県と自動運転の社会実装を見据えた実証実験を継続的に実施してきていて、今後もXRによるモビリティの新たな価値創造と、テーマパークやスマートシティなど、新しい移動体験の提供を目指すとしています。