自動運転技術でよく目にするのが、GNSSと呼ばれるものです。これはGlobal Navigation Satellite System(全球測位衛星システム)の略で、アメリカのGPSや日本の準天頂衛星(QZSS)、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileoといった衛星測位システムの総称となります。
GPSが一番お馴染みですが、いずれの衛星を使った測位システムでも、トンネル内等、電波の受信が困難な場所では測位は不安定もしくは不可能となってしまいます。この問題を解決するために、クアルコムテクノロジーズとアルプスアルパインが共同開発するのが、カメラ映像を活用した自車位置測位システム「ViewPose」です。
この開発ではアルプスアルパインは、クアルコムの次世代自動車向けプラットフォーム「Snapdragon Automotive 5G Platform」や、複数のカメラ映像を処理して繋ぎ合わせる「Snapdragon Automotive Cockpit Platform」といった技術や製品を活用するとしています。
さらにアルプスアルパインは、加えて「Qualcomm Vision Enhanced Precise Positioning (VEPP)」といった異なるソフトウェアの計算結果を統合して処理の実施。これにより、トンネルや屋内駐車場等、事実上すべての環境で非常に高精度な自車位置および進行方向の検知を実現するとしています。この「ViewPose」はクアルコムテクノロジーズのVEPPを利用する世界初のカメラセンシングシステムになります。
クアルコムでは、アルプスアルパインと共同開発することで、自動車に搭載されている既存の各種センサ情報を活用することができるため、GNSSの受信が困難な環境下での高精度な自車位置および進行方向の検知を、既存技術よりはるかに低コストで実現できるとしています。なお、「ViewPose」は2024年からの新車種への搭載を目指して現在開発を進めているとのことです。