空港内では様々な車両が使用され、広大な敷地内での移動などにも使用されています。ANA(全日空)では、「人と技術の融合・役割分担の見直し」を掲げて、シンプルで効率のいい空港内でのオペレーションを実現するために、様々な改革を実施しています。そのひとつが電気自動運転バスの実用化で、2018年2月から羽田空港第2ターミナル制限区域内で実証実験を行っています。

今回発表されたのはさらに一歩踏み込んだもので、BOLDLY、先進モビリティ、ビーワイディージャパン各社の協力のもと、2021年2月1日から12日までの間、羽田空港の制限区域内で、大型電気自動運転バスの試験運用(自動運転レベル3相当)を開始しました。これは実際の各作業に従事する従業員の制限区域内の移動用として使われ、国内初となります。

この試験運用では、国土交通省が自動走行用に試験的に作成した高精度3次元地図を使用して、走行ルートの安定性を向上させています。さらに、遠隔制御性、操作対応性など、他の空港内交通への影響についても試験されるというのは空港という環境ならではの試験項目となります。

さらに、今回の結果を踏まえて、関係各社との継続的な連携や協力のもと、2021年内には、乗客の乗り継ぎの利便性向上を目的とする試験運用の実施や、2025年にレベル4相当の無人自動運転についても実用化を目指すとしています。

今回の試験運用に使用される車両はビーワイディージャパンの「K9RA」をベースにした、57人乗りの大型電気自動運転バスで、2020年1月に羽田空港で行われた実証実験と同じバスとなります。自動操舵装置、EBS(電子制御ブレーキシステム)、GNSS受信機、ジャイロセンサー、各種障害物センサー、走行制御コンピュータ、認識処理コンピュータなどを搭載しています。

実際の運用は第2ターミナル内を移動する際に使用しているガソリン車の代わりに循環バス3台を運行し、そのうち1台に大型電気自動運転バスを使用。1周約2.5km、所用時間約15分のルート内で、発車、走行、減速、乗降場への停止などすべて自動運転で実施して、乗降場は5カ所となります。自動運転バスは15分間隔で運行されます。

ANAプレスリリースより

生産年齢人口の減少による空港内での効率化を目指すだけでなく、電動バスを使用することで航空業界全体の問題でもあるCO2排出量の削減についての効果が期待されます。