
各地で導入が進んでいるのが、BRTと呼ばれるシステムです。これはバス・ラピッド・トランジットの頭文字を取ったもので、バス専用道やバスレーン、PTPS(公共車両優先システム)、連節バスなどを組み合わせることで、時間に正確でスピーディ、そして効率のいい輸送が行えるだけでなく、輸送能力の増大も可能となるバスシステムです。限られた場所での運用ともなるため、安全性が高いのも特徴となります。簡単に言えば、鉄道と通常のバスの中間的なものと言っていいでしょう。
JR東日本では今回、自動運転が可能なBRT専用の大型バスを製作して、走行実験を行うと発表しました。以前からBRTで使用されている大型ハイブリッドバスを改造したもので、一般的な自動運転車両に搭載している、自車位置を認識するためのGNSSアンテナやライダー、ミリ波レーダー、単眼&ステレオカメラなどを装備しています。
また、BRTでは路面に埋め込まれた磁気マーカーを使って運行することも多いのが特徴となります。このために、自車位置を認識する磁気センサーや、付随する RFID (radio frequency identification)タグ情報を取得して自車位置を特定するためのRFIDリーダーも搭載しています。

これらの機能を使用して自動運転レベル3の認証取得を目指すとしていますが、バスというものの利用特性上、ドライバーによる運転を行う場合もあり、自動と手動運転の切り替えができるようになっています。これは任意で切り替えることができるだけでなく、手動運転が必要になった場合に、ドライバーに警告を発して切り替えを促す機能も備えています。また、万が一に備えて、不具合が発生した場合に安全に停止したり、自動運転時の状態を記録したり、ドライバーが自動運転システムをモニターできるなど、安全面に大きく配慮したものとなっています。
今後は走行試験を行うことで、本格的な実用化に向けて、60km/h走行やトンネル内走行を含む、専用道での自動運転レベル 3 認証の取得を目指すとしています。2020年度については、2021年1月18日~3月15日に、気仙沼線BRTの柳津~陸前横山間で、トンネル内走行や車線維持制御等の走行試験を実施して、夏には地域住民向けの試乗会も予定しています。地域交通での自動運転技術の新しい利用方法として、今後も注目です。