
東広島市、広島大学、イズミ、そしてモネ・テクノロジーズは、スーパーマーケットなどと連携した小売りMaaSを、自動運転車で実現する「Autono-MaaS(オートノマース)」の実用化に向けたプロジェクトを、2021年2月から開始すると発表しました。
Autono-MaaSとは、Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaSを融合させた造語で、自動運転車を利用したモビリティサービスのことを指します。
このプロジェクトは、内閣府から「SDGs未来都市」に選定された東広島市が目指している、住み続けられるまちづくりの推進と、自動運転時代を見据えた国際学術研究都市の実現に向けて実施されるものとして位置づけられています。
具体的には子育て世代や、今後の課題として大きな高齢者などの買物を支援するサービスの実証を目的としたもので、広島大学の学生および教職員だけでなく、近隣の住民もモニターとして参加します。エリアは西条町下見および西条下見地区が中心となって、いくつかの実証実験に段階的に取り組むとしています。
すでに、東広島市と広島大学、モネ・テクノロジーズは、自動運転社会を見据えたデータ収集を目的にして、東広島キャンパスや周辺地域で、定時定路線およびオンデマンド型の「広島大学循環バス」を2020年7月までの約10カ月間運行していました。さらに2020年11月からは、東広島市の住民などが安心して買物に出掛けられるよう、車内におけるパーソナルスペースの確保と換気を行う、モネ・テクノロジーズの「パーソナルベンチレーションキット」を架装した車両を使って、オンデマンド型の「広島大学循環バス」を運行しています。
それを踏まえた実証実験は4つで、ひとつ目はオンデマンドバスを使って、アプリからの予約に従ってイズミが運営するスーパー「ゆめタウン学園店」への送迎を行いながら、商品の宅配も同時に行うものです。2021年2月から2022年3月までで、こちらは手動での運転となります。
そして、ふたつ目は自動運転シャトルでの実証実験で、アメリカのメイモビリティ社製の自動運転車を使用して、広島大学の東広島キャンパス内にある路線で運行し、学生・職員が自由に移動手段として利用できるものです。2021年3月から8月まで実施されます。
3つ目はひとつ目に関連するもので、モニターが電話注文した「ゆめタウン学園店」の商品を店頭のロッカーで受け取れる「BOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)」の実証実験です。ピックアップはひとつ目のオンデマンドバスをアプリで予約して行います。
そして、上記の集大成となるのが、4つ目の小売りの「Autono-MaaS」の実証実験で、2021年9月から2022年3月までの予定で実施されます。自動運転の安全性を踏まえたうえで、広島大学の東広島キャンパスと「ゆめタウン学園店」を結ぶルートで、1台の自動運転シャトルを定路線で運行しながら、モニターの送迎とイズミのアプリで注文を受け付けた「ゆめタウン学園店」の商品の配送を同時に行う予定としています。
貨客混載での実証実験で、どういった結果が出るのか興味があるところです。うまく行けば、地域の活性化だけでなく、高齢化対策など、様々な面での解決策として今後の施策に取り入れられていくことになるでしょう。
