
スバルとソフトバンクは5G回線、そしてセルラーV2X(C-V2X)通信を活用した安全運転支援や自動運転制御についてのユースケースの共同開発を2019年から進めています。その成果として、2020年8月に合流時車両支援の実地検証を行い、スムーズな合流に成功したと発表しました。
V2Xとはクルマと人、他者、インフラなどのなにかがつながることを示していて、携帯電話回線を使用したものがセルラーV2Xとなります。またユースケースとは「あるシステムについて、使ってみると使用者目線でこんな感じになる」というイメージをつかむための方法です。
今回の実証実験は、北海道にあるスバル研究実験センター美深試験場内で、ここに5Gの通信環境を構築して行われました。また検証に必要な車両位置情報の取得には、ソフトバンクの高精度測位サービス「イチミル」が使用されました。
行われたのはふたつのユースケースで、ひとつ目は「合流路から本線車道への合流」です。自動運転車が合流しようとした場合、合流する側とされる側の位置情報等を5Gネットワークを経由して集約したうえで、近くに置かれたMEC(Multi-access Edge Computing)サーバーで衝突予測計算を実施。合流しようとしている自動運転車に送って、警告や減速指示を出して、安全かつスムーズに合流させるというものです。

ふたつ目が「本線車道が渋滞している場合の合流」です。この場合はMECサーバーを使用せず、直接C-V2Xの車車間通信を使用して、合流する側とされる側でやり取りを行います。侵入する自動運転車からは侵入要求と減速指示のメッセージを侵入される側へと送り、受信したところで安全な位置関係になるように制御計算を実施して、車間を空けるなどの対応をします。

今回の実証実験の成功は、リアルな状況での安全かつスムーズな自動運転を可能にするためのさらなる前進としながら、さらに複雑な状態でのユースケースにも注目です。