自動運転社会が到来すると、今まで想定していなかった状況が発生して、それに対しての対応が求められるとされています。そのひとつが自動車保険です。

根本にあるのが、自動運転化された場合、どこに責任の所在があるのかということです。以前から議論されていますが、2019年5月に道路交通法が改正されて、レベル3が認められるようになり、さらに状況は前進しました。

レベル3が認められたということは、ドライバーは周囲の状況に注意を払うことなく、例えば携帯電話などの操作が可能になります。ただし、事故を起こした場合、状況によってはドライバーに賠償責任が発生します。この際は車両にかかっている自動車保険を使うことになるのですが、そうなると等級が下がってしまい、翌年の保険料が上がることが一般的です。

この点について、東京海上日動火災保険から、レベル3以上の自動運転中の事故であれば使用しても等級に影響がなく、保険料の負担が増えないようにするとの発表が先駆けてなされました。

自動運転(レベル3)中の事故図版

東京海上日動火災保険では2016年に、自動運転時代を見据えた「被害者救済費用等補償特約」を導入しています。これは被保険者に責任がなくても、補償を行なうというもので、複雑化する自動運転時代の責任所在とは別に被害者救済を優先した試みとして話題になりました。

被害者保護に加えて、今回の加害者の負担軽減も併せることで、自動車保険が自動運転インフラの強化につながることは、さらなる社会的な前進として注目です。

また2021年4月以降に始期を迎える同社のすべてのノンフリート自動車保険を対象に追加の保険料負担なく適用するとのことです。