車両を乗せたターンテーブルを360度回転させながら、疑似基地局タワーを円弧状に移動させ、タワーと車両の距離も変化させることで全方位測定が可能。最大200の周波数ポイントを同時に測定できるといいます。

パナソニックは、5G搭載が急速に進むと予想される自動運転車、コネクテッドカーをターゲットに、車両丸ごと全方位で通信性能測定が可能な電波暗室を構築したと9月19日発表しました。

5Gでは複数のアンテナ(MIMO※1、ビームフォーミング※2)を使用して大容量通信を実現しますが、車両搭載時は車体による電波の反射や電子機器が放出する電磁波ノイズの影響を受け、5Gアンテナや無線機単体が持つ性能をそのまま発揮できないことがありますが、この電波暗室では、効率よく車両丸ごとの通信性能評価を行うことで、その問題をクリアしています。また、車両デザイン設計の初期段階から、自動車メーカーと共にこの電波暗室を用いた共同評価を行うことで、車両のデザインコンセプトと通信性能を両立させる、5Gアンテナと無線機の最適配置を導くことに貢献します。

車両を乗せたターンテーブルを360度回転させながら、疑似基地局タワーを円弧状に移動させ、タワーと車両の距離も変化させることで全方位測定ができ、最大200の周波数ポイントを同時に測定できることが特徴となっています。

【車両用電波測定システム概要】
電波暗室寸法:幅21m×奥行き29m×高さ9m
タワー高さ:8m 
測定半径:0~7m 
周波数:700MHz~9GHz、28GHz帯(ほかの周波数対応も可能) 
同時測定:200周波数ポイント 
偏波:垂直偏波、水平偏波 
測定角度:水平角0~359度、1度ステップ /仰角0~90度、1度ステップ

※1 Multiple Input Multiple Outputの略:複数のアンテナで送受信することによりデータ通信速度を高速化する技術
※2 特定の方向に電波を集中的に向けることで通信品質を向上させる技術