
自動運転システムを実証実験する際、シミュレーション上で行うだけでなく、自然環境の変化など、シミュレーションでは実証しきれない場合があるなど、実走行での試験は欠かせません。現在、お台場等のエリアを実証試験地域としてはいますが、交通量の問題もあって、試験は限定的になってしまいます。

そこで自治体として、積極的に自動運転実証フィールドとしての環境を整えているのが、北海道です。広大なエリアの中には、札幌といった都市、そして高規格道路や直線道路、峠やダートなど様々な道路があります。また野生動物の飛び出しや凍結、積雪、吹雪といった、様々な自然環境下での試験を行えるという点も北海道の優位性は高いと言っていいでしょう。実際、各自動車メーカー、サプライヤーはテストコースを設置していることからもそれはわかります。
しかし、限られたテストコース以外で実証試験を行うとなると、許認可などの問題が障害となるのも事実です。そこで北海道経済部が窓口となってワンストップ化を推進しています。テストコースを所有していない場合や、北海道の特徴的な環境の中で実証試験を行いたい場合に、試験内容にあった試験場所の選定についての相談だけでなく、当該道路管理者、運輸局、警察との調整についても行うというのが、大きな注目点です。
この背景には「北海道自動車安全技術検討会議」という存在があります。こちらは北海道庁を初めとする各自治体、大学などの研究機関のほか、国土交通省やNEXCO東日本などが参加する大規模なもので、ここでの連絡・調整・協議を行うことで様々なニーズに柔軟に対応していることが、ワンストップでの受け入れ態勢につながっています。
さらに注目なのは、公道、公道外問わず、実証試験内容に合った適地を効率的に検討するための「実証試験適地データベース」を無料で提供していることです。公道データベースでは、道内4地域の高規格道路(高速道路)、国道、道道を1km単位に分割して、様々な情報をその区間単位で整理して提供しています。
また公道外データベースでは道内全域の公共・民間施設を対象にして、施設情報や利用条件、周辺環境などの情報を提供しています。
実証試験のフィールド選定の問題は今後もますます増えて行くのは確実だけに、北海道全域をカバーし、様々な情報を提供してワンストップで受け入れる北海道の試みは、自動運転化を推進するための動きとして、今後にも注目です。