モービルアイは、今年1月に開催されたCES2020でイスラエルの都市エルサレムの一般道を走行する自動運転車の動画を公開しました。今回新たにモービルアイのAV(自律走行車)開発で利用しているエルサレムを走行する動画が公開されました。
AVの意思決定ロジックの詳細を正確に示すため、ドローンも使って走行状況を追跡し、走行中に遭遇するさまざまな状況に対応しているのかを説明しています。
2017年にモービルアイは安全性の概念を公表しました。この概念は大きく2つの見解に基づいています。
ひとつ目は、車線の合流時などの意思決定プロセスでの判断ミスが原因の事故は、「運転操作における『注意する』とはどういうことか」を形式的な方法で明確化することで、確実に回避できるということ。モービルアイが唱える責任感知型安全論(RSS:Responsibility Sensitive Safety)モデルでは、例えば「優先通行は譲られるもので、自分から取りにいくものではない」といった安全な判断を行うために想定されるパラメーターを備え、さらに、RSSモデルでは前提条件の範囲内で起こり得る最悪のシナリオを想定し、路上のほかの利用者がどのような行動をとるかも踏まえているといいます。要するに、RSSの理論では、AVが前提条件に従うことで、事故を起こさないことです。
ふたつ目は、AVの判断プロセス上、センシングシステムで故障が発生すれば、事故につながる可能性もあります。センシングシステムは、ソフトウェアがインストールされたカメラ、レーダー、LiDARで構成され、センサーが収集したローデータ、特に路上の他の使用者の位置や速度といったデータを「周辺環境モデル」に変換されます。センシングシステムが見落とす、または計測値の算出を誤る可能性はわずかながら残っています。その可能性を限りなくゼロに近づけるため、カメラのみをベースに走行できるシステムを搭載して完全にエンドツーエンドの自律走行車を開発し、別途レーダーとLiDARを使用して走行する完全に独立したシステムを開発することで、センシング機能の不具合が発生する確率を大幅に低減する。そこにモービルアイ独自のシステム構築ならではのアドバンテージがあると言えるでしょう。
これらの動画はモービルアイが開発したカメラのみのサブシステムが実現した実際の走行で、実験車両には、レーダーもLiDARも搭載されておらず、遠距離カメラ8台、パーキングカメラを4台設置し、撮影データは2つのEyeQ5を搭載したコンピューティングシステムで収集しているといいます