UDトラックス、日本通運、ホクレン農業協同組合連合会は、8月29日、レベル4技術を用いた大型トラックによる自動運転の実証実験を公開しました。ホクレン中斜里製糖工場において、砂糖の原料の運搬業務を想定した自動運転を披露しました。物流の現場で深刻化するドライバー不足の解消に向けた方策のひとつとして期待されています。

UDトラックスの大型トラック「クオン」をベースに開発された車両は、悪天候や悪路などの条件下でも高い精度で自己車両の位置を測定できるリアルタイムキネマティック全地球測位システム(RTK-GPS)や3D-LiDAR、ミリ波レーダー、操舵アクチュエーターなどの自動運転技術を搭載。今回の実験は警察庁が定めた「自動走行システムに関する公道実証実験のためのガイドライン」の規定に基づき実施されたため、レベル4技術による自動運転ながら車両にはドライバーが搭乗し、不測の事態に対する有人緊急操縦態勢を確保した上での走行となりました。

公道、未舗装道路を含む約1.3kmの運搬ルートを20km/hで自動走行しましたが、UDトラックス開発部門統括責任者ダグラス・ナカノ氏は「レベル4技術を反復作業が中心である大規模な限定領域で活用すれば、物流は大幅に効率化されます。今回の実証実験で得られたデータを活用して、多様な物流の現場で求められるソリューションとしてのレベル4自動運転システムを開発し、ここ北の大地で、農産業そして持続可能な食糧生産を支援したいと思います。そしてさらに大規模な用途へと応用していければと考えています」と実用レベルでの採用を語りました。

UDトラックスは2018年に次世代技術ロードマップを発表しましたが、自動化の取り組みをロードマップの柱のひとつとして位置づけ、2030年までに完全自動運転トラックと大型電動化トラックの量産を目指しています。

ちなみに北海道庁では2016年に「北海道自動車安全技術検討会」を設置し、全国に先駆けて産官学連携のもと自動走行に関し、実証試験の円滑化と研究開発促進のための環境整備や情報提供を行っています。自動車・部品メーカーなどが道内に持つ自動運転の試験場は全国最多の28カ所を誇っています。自動運転技術など先端技術の積極的な活用による物流効率化、地域課題の解消に向けての強化が図られていくことになります。