VICS実証実験 パワーポイント

VICS とは?

今や当たり前の存在となっているカーナビですが、効率的な走行をアシストするという役割も当初から担っていました。実際に利用されている方も多いと思いますが、現在では地図上に渋滞情報を表示する、VICSというシステムが、ほとんどのカーナビに搭載されています。VICSは道路交通情報通信システムの略で、1996年から運用が始まったものです。

地図上に緑や青、黄、赤のラインを表示することで、ほぼリアルタイムでクルマの流れを示すものです。目視でこの先がどうなっているかなど、判断要素として活用するだけでなく、ルート計算やリルート計算に使用されています。

情報データはFM-VICE(FM多重放送)だけでなく、受信センサーを別途装着する必要がありますが、道路上に設置された電波ビーコン(高速道路の情報)、光ビーコン(一般道)から、さらに詳細な情報を得ることが可能となっています。

プローブデータによる渋滞情報

さらに現在、運用されているのが、プローブデータによる渋滞情報の表示です。現状、VICSでカバーできているのは、道路総延長距離約128万kmとされるうち、約7万kmにとどまっています。VICSは道路上に設置されたセンサーで道路状況をモニターしていますが、その設置にも限界があるだけに、仕方がないとも言えます。

一方、プローブデータは通信機能が付いている対応のカーナビからのデータを使用しています。カーナビは車両と接続されることで、走行状態、つまり現在どれぐらいのペースで動いているかというデータを得ることができ、それをセンターに送っています。

センターでは路上を走っているクルマから続々とデータが集まり続け、いわゆるビッグデータと呼べるレベルの交通情報が生成されることになります。これを今一度、各車両に送って、カーナビ上に点線などで渋滞情報として表示するのが、ブローブによる渋滞情報です。

プローブ情報による渋滞情報については機器メーカーとしてはパイオニアが早い時期から導入していて、車体メーカーでは日産、ホンダが先駆けです。今では一般的になっていますが、問題は各自が独自に運用していることでした。

この点については、渋滞情報はインフラのひとつであり、共有してもお互いの利益を害すことが少ないものとして、早い時期から共有化を望む声が多くありました。2015年により情報量の多いVICS WIDEが導入された際にはタクシーを使用したプローブ情報の活用も試験されましたが、情報にムラがあるということで、広がりはなかったというのが実際でした。

トヨタなど4社のプローブ情報を利用した実証実験が関東1都6県で4月よりスタート

この4月からは東京モーターショーで発表されていた、トヨタ、日産、ホンダ、パイオニアという4社のプローブ情報を利用しての実証実験が、関東の1都6県で始まります。使用上のメリットとしては、データは従来のFM-VICSによって配信されることで、別途機器を購入したり装着する必要はありません。またVICS WIDE対応のカーナビであれば、一般道での渋滞回避を行うことも可能とのこと。

4社のデータを使用することから、VICSに対して対応範囲は大きく拡大されることは確実です。その結果、VICSが当初から掲げている「渋滞ゼロ社会へ。」に一歩近づくだけでなく、二酸化炭素の排出削減や職業ドライバーの負担軽減など、さまざまな面での効用が期待できます。自動運転においても渋滞情報は大切なソースとなるだけに、今回の実験の結果には今後も注目です。

■VICS実証実験スペシャルサイト
https://www.vics.or.jp/everyone/special/