ひと口にホンダといっても、従来、本田技研工業と本田技術研究所の2本柱で事業を行ってきました。前者はS(営業)E(生産)D(開発)B(購買)体制で、後者は研究・開発機能を担ってきました。
簡単に言ってしまえば、デザインを含めて、自動車を研究開発するのが本田技術研究所で、その他の作ったり、売ったりするのを本田技研工業が担当する形でした。本田技術研究所は、技術屋である本田宗一郎氏の夢の結晶とも言えるもので、この体制を大きく変えるのは、衝撃とも言っていいほどの出来事です。
2020年4月1日付けで組織変更はされますが、簡単に言ってしまうと、従来から本田技術研究所にあった四輪商品開発部門をデザインなど一部機能を除き、本田技研工業へと移管。本田技術研究所はAIや先進運転支援技術&自動運転技術の研究開発機能を強化して、未来に向けての競争力強化に注力することになります。


また本田技研工業内でも、コネクテッドやMaaSを集中的に担当するモビリティサービス事業本部を設置。それまでは各部署が別々で行ってきた、この分野を一括した体制へと変更しています。さらに、国内におけるモビリティサービス事業の企画立案、運営を担うホンダモビリティソリューションズという新会社も立ち上げています。

本田技研工業の本社にほど近い赤坂には先行して「HondaイノベーションラボTokyo」を開設して、人工知能とデジタル技術などに特化した研究を始めています。
自動運転の進化・実現に向けて、トヨタを中心にして、続々と各自動車メーカーが集まりつつあるなかで、ホンダは独自の道を歩んでいますが、ここに来て競争力強化に向けて本腰を入れ始めたと言っていいでしょう。