ヴァレオの電動化と自動運転の最新技術

フランスに拠点を置く世界最大級の自動車用品メーカーであるValeoは、世界中の自動車メーカーに製品を供給しています。ヴァレオの主力製品である車載センサーについては欧州市場が先行しているため、欧州で研究開発した製品を日本で展開していますが、車室内の空調については、日本の消費者がよりセンシティブな感覚を持っていることから、日本で研究開発した製品を全世界へ展開するなど、研究拠点もグローバル展開しています。

ここCESでは、多くの企業が屋内にブースを設けて製品をアピールしていましたが、Valeoは屋外に常設のブースを作り、技術を実際に体験できるというスタイル。

中国の大手食品配送サービスプロバイダー美団点評(Meituan Dianping)と提携して開発された自律型電動配送ドロイドのプロトタイプ「eDeliver4U」を筆頭に、道路利用者の意図を予測する「Move Predict.ai」や、リアルタイムの地図がクルマに搭載される「Drive4U Locate」など、数々の先進技術を披露し、実際に清水和夫氏が試乗、体験しました。Valeoの技術の一部をご紹介しましょう。

eDeliver4U

CESで世界初公開されたeDeliver4U。全長2.8m、全幅1.2m、全高1.70m のドロイドは、1回の配送で最大17品目を運搬でき、時速12kmで自律走行します。走行可能距離はこのプロトタイプで約100km。デリバリーボックスには、ユーザーがスマートフォンで注文した商品を入れ、あとは自動的に配達するという仕組み。ドロイドは4台のヴァレオSCALAレーザースキャナー(量産車に既に搭載されている唯一の自動車用 LiDAR)、フロントカメラ、2台の広角カメラ、2台のレーダー、6台の超音波センサー、ソフトウェアと人工知能を備えており、これらのセンサーとアルゴリズムによる検知システムによって自律的に動作します。 電動シャシーは、自社製の48Vモーターと、インバーター、減速機、48Vバッテリー、DC / DCコンバーター、電動パワーステアリング、ブレーキシステムを備えています。

Move Predict.ai

車両のすぐ近くにいる歩行者、自転車、スクーターなどを検出し、その意図を予測。この技術は、最新世代の魚眼カメラとSCALA LiDAR と人工知能により360°を認識することで実現しています。たとえば携帯電話を使用しているかどうかを考慮して、車両の周囲の状況、道路利用者の行動、注意度のレベルを詳細に分析。この情報によって、道路を横断するかなど、意図や軌道を予測して、潜在的に危険な行動をドライバーに即座に警告し、必要に応じて緊急ブレーキシステムを作動させます。

Drive4U Locate

SCALA LiDARによって収集された情報(道路工事、新しいインフラストラクチャなどの静止した対象物)をクラウドに送信し、ダイナミックマップの作成と継続的な更新に寄与します。そして、直接検知した情報をダイナミップマップと比較することで、センチメートルレベル(10cm以内)の正確な位置情報を把握することができます。 

Park4Ucharge

駐車支援システムの世界市場で35%のシェアを持つを占めるヴァレオは、Park4U自動駐車システムの最新バージョンを発表しました。学習した駐車操作を再現することで、車両は充電ステーションを検出して完全に整列し、自律的に駐車。シームレスな充電を可能にします。

TwinswHeel

ヴァレオのセンサーと電動化技術は、フランスのスタートアップTwinswHeelが開発した 2台のドロイドにも搭載されています。TH03とTH05と名付けられた 2台の自律ドロイドは、それぞれ60 kg、130 kgの荷物を時速7 kmで輸送でき、5cmから3 m離れている人を追尾します。TH03には、カメラ、超音波センサー、電子制御システムが装備されています。TH05には、これらの技術に加えて、SCALAレーザースキャナーが搭載され、48V電動モーターで駆動します。