電動車両や自動運転車両の技術革新の鍵となる次世代の車載半導体を早期に開発していくために、トヨタの持つモビリティ視点とデンソーが培ってきた車載視点をひとつに

自動運転の実現と言っても、さまざまな分野が関わってきます。社会的なインフラの整備、法律。さらには販売網や整備、保険など、実に多岐に渡ります。もちろんクルマ自体にも大きな変化が求められます。パワートレインそのものはガソリンエンジン、モーターなど、従来のものを使うことができますが、制御については新しいシステムが必要になります。
それを受けて、各種コントロールユニットやセンサーなども新たに開発しなくてはなりません。この点をどうするのか? 今までの自動車メーカーや部品メーカーの存在にも関わってくる問題ですが、実際に2019年の東京モーターショーでの展示を見ても、コンピュータやセンサーが多く出展されていたのは大きな注目でした。
さらに踏み込んだ動きが、トヨタとデンソーとの間でありました。それが2019年12月に発表された合弁会社「MIRISE Technologies(ミライズ テクノロジーズ)」です。MIRISEとはMobility Innovative Research Institute for Semiconductorの略ですが、未来とRISE(上昇)もかけているとのことで、未来指向な会社であることがわかります。
具体的な技術開発領域は3つで「1-パワーエレクトロニクス」「2-センシング」「3-SoC(System-on-a-Chip)」です。1は今までのハイブリッド車開発で蓄積された半導体材料や生産、設計技術をもとにして、内製化を目指すというもの。2はセンシング領域で、委託製造も含めた内製を目指します。
そして重要なのが3つ目です。SoCとは、ひとつの半導体チップのなかにシステムを入れるという技術で、コンパクト化に繋がるので、自動車の場合、設計の自由度が上がるだけでなく、軽量化などにも貢献できるとされています。
現在かかげている方針は、まず2024年にトヨタのモビリティ作りと、デンソーの車載技術を掛け合わせて両輪として、次世代の車載半導体を、より早期に開発していくとしています。そして2030年には、豊かなモビリティ社会が実現され、そのコアをMIRISE Technologiesの半導体エレクトロニクスが担っていることを目指すと発表されています。
内製という言葉が何度か出てきていることからもわかるように、半導体関係をどこが作って、どう採用するのかは、今後の自動車作りでのキーワードになってくるのではないでしょうか。