
ドイツの大手自動車メーカー、フォルクスワーゲンは10月末に、自動運転の最先端技術研究所として子会社の「Volkswagen Autonomy(VWAT)GmbH」をミュンヘンとウォルフスブルグに設立し、将来の自動運転の市場導入に向けた取り組みを加速させています。
VWATが導入を目指す最初の自動運転システム(SDS)は、都市部における人とモノのモビリティソリューション。フォルクスワーゲングループは2019年の7月に、自動運転の分野でフォードとの協力を発表しました。この協力関係には、自動運転のソフトウェア開発に特化したARGO AIへの出資が含まれており、現在、当局における承認を待っているところです。
ARGO AIとVWATは、SDSの実現に向けて緊密に協力。システムの開発にあたっては、システムエンジニアリングと工業化に焦点が当てられ、その目標は、将来的にフォルクスワーゲングループに属するすべてのブランドで活用できる標準モジュールのSDSを開発することだと同社は説明しています。

最初の運用ケースは商業分野で計画されています。フォルクスワーゲンの商用車ブランドは、グループ内でMaaS(Mobility as a Service)およびTaaS(Track as a Service)を主導するブランドとして、ロボ・タクシーやロボ・バンといったSPV(スペシャル・パーパス・ビークル)を開発・生産。VWATは、顧客としてのフォルクスワーゲン商用車ブランドと「Co-Creation」という形態により、これらのシステムを共同開発します。これによりフォルクスワーゲンの小型商用車ブランドは、VWATの自動運転システムを最初に応用搭載することになります。

年末までには、現在フォルクスワーゲングループ研究部門に属している自動運転チームが、VWATに配属される予定。また、ドイツの本社に加えて、2020年にはシリコンバレー、そして2021年には中国にも子会社が設立される見通しです。VWATは、システムの開発、確認、検証に関する作業に加えて、フォルクスワーゲングループ内のレベル4以上の自動運転システムに関するあらゆる活動を統括することになります。