わき見・スマホ・居眠りを検知する

AI技術を活用した興味深いアイテムが登場したので紹介しましょう。それはオリックスが展開するNauto(ナウト)というドライブレコーダーです。Nautoはアメリカの企業で、すでに世界で広くサービスを提供しており、日本へはオリックス自動車が窓口になって広く普及を目指しています。

オリックス自動車は1991年から、運送業者などの法人向けにリスクコンサルティングサービスを開始し、テレマティックスにも力を入れてきました。背景には交通事故は極めて人災の要素が強く、経済損失は3.2兆円にものぼる(2018年・日本損害保険協会調べ)というデータも出ています。また、交通事故の件数は減っているにもかかわらず、携帯電話などの使用に関わる交通事故は増えています。その流れのなかで2018年7月にNautoのAI搭載型のドライブレコーダーをリリース。今回、ながら運転の厳罰化に従って新しい機能をプラスしたAI搭載の通信型ドライブレコーダーが登場しました。

顔認証でドライバーの運行管理や指導も容易

一般的なドライブレコーダーがあおり運転被害を含めた事故の状況記録に主眼を置いているのに対して、Nautoはまったく違った機能がプラスされています。ながら運転となる行為をドライバーが行った場合、ドライブレコーダーが検知したら警告を発して、それでも改善されない場合は運行管理者などに連絡が届くというものです。

具体的には、わき見やスマホをいじるなどで、設定によってはタバコを吸うなどにも対応が可能とのこと。Nauto調べではドライバーは約20分に1回、わき見をしていて、約10人に1人が10分間に1回以上のわき見をする常習者とのことです。その結果、全体の衝突回数に占める割合は、運転に集中するタイプのドライバーが29%なのに対して、わき見をしがちなドライバーでは、71%にもなるという結果も出ています(Nauto調べ)。

つまり、ながら運転を減らすことで事故の発生を抑える効果が期待でき、Nautoのドライブレコーダーはこの点に目的の重点をおいて機能が付与されています。ドライバーへの警告はクラウドを通じて、運行管理者などに送られるだけでなく、ドライバー別の頻度や発生場所や日時をデータとしてまとめることができるので、社員への安全教育に活かすことが可能です。

もちろん車外向けにもカメラが設置されているので、一般的な事故時の記録もできるだけでなく。日頃から危険な車間距離になっていないかを監視して、警告と記録も可能となっています。

実際にNautoのデモを見て、驚いたのはAIのレベルの高さです。運転動作としてサイドミラーを見たり、左右後方を確認するため、顔を横に向けたりするのには反応しませんし、サングラスを着用していても検知可能となっています。利用料金は初期費用1万3000円のほかは、月額使用料が1台あたり4500円かかるのみで、費用はかなり安く抑えられています。機能が法人向けで、個人向けにリリースすることは考えていないとのことですが、AIによるドライバーの安全性向上という点では有効な機能も多く、未来の姿も垣間見ることができました。

本体をフロントガラス前面上部に装着するのは一般的なドライブレコーダーと同じで、カメラは車外と車内用のふたつが前後に付いています。単純に目の動きなどで判断しているのではなく、AIが特殊なアルゴリズムに則って判断。アップデートも回線を使って車載状態で行うことができます。警告を繰り返し、異常と判断すると、運行管理者に連絡がいきます。車内外の状況、場所、警告内容などの履歴が細かくレポートされます