国土交通省では、内閣府SIPの枠組みのなかで、高齢化が進行する中山間地域における人流・物流の確保のため、「道の駅」等を拠点とした自動運転サービス社会実装の実現を目指し、平成29年度より実証実験を実施しています。ここ、島根県飯石郡飯南町の道の駅「赤来高原」においては、平成29年11月11日から17日までの期間、自動運転サービスの実証実験を実施し、走行環境や社会的受容性、地域への効果などについて検証を行ってきました。今回、自動運転に対応した道路空間等の整備、地域の実情に応じた運行管理システムやビジネスモデルの構築に向け、9月1日から10月10日までの40日間実証実験が行われました。

飯南町は島根県中南部にあり、周囲を1000m前後の山に囲まれた県内でも代表的な高原地帯で、平成17年に頓原町と赤来町が合併して発足。出雲縁結び空港からクルマを走らせると、木々が生い茂った景色が続き山間部へ向かっているのがわかります。1時間ほど走るとようやく飯南町に入るのですが、まず道の駅「頓原」に出くわします。途中、コンビニエンスストアや商店らしきものもありません。そこからさらに15分ほど走ると、ようやく目的地の道の駅「赤来高原」に到着です。

駐車場は普通車17台、大型車4台、身障者用1台 二輪車専用駐輪場、EV充電器スペース1台と、道の駅としてはこじんまりした印象を受けます。その駐車場の一角にバス停があり、自動運転車両の発着場になっていました。

今回の実証実験、2017年11月のときとは異なる点がいくつかあります。前回の7日間に対して今回は40日間の長期実証実験であること、車両がミニバンタイプからゴルフカート型に変わったこと、有償での運行としたことなどが挙げられます。

初めて利用する際は、道の駅赤来高原1階で利用者登録をしてから乗車券を購入します。1回200円、5枚綴りの回数券は250円、定期券は1カ月500円と、地域住民のお財布に優しい料金設定(中学生以下は無料)です。乗車には事前予約が必要で、①電話 ②受付窓口に足を運ぶ ③スマホでQRコードからアクセスの3つの方法があります。乗車予約は1時間前までできるので、外出先から帰路の予約だって可能です。しかも平日は10:00から16:25分発まで9便が運行。これは利便性が高いでしょう。

赤名宿ルートは保育所や小学校、地元スーパー、郵便局、赤名駅など15カ所にバス停を設置。町営の路線バスなどの乗り継ぎなど、赤名地区住民の将来の移動手段として期待できそうです。観光の目玉のひとつでもあるリンゴ園は、道の駅から比較的近いのですが、勾配がきつい坂道を通るために観光客が多い休日のみですが午前と午後の2便を運行していました。

取材当日は、近くの保育園児たちが体験試乗に訪れていました。そのほかの日にも小学校の児童たちが訪れるなど工夫を凝らし、地域に密着した移動手段を目指す様子も見られました。

「9月1日からの約1カ月間で、約500名の方が乗車し、自動運転車両が地域に馴染んできた」とは、塚原隆昭副町長談。この飯南町では、町営バスのほか、デマンドバスを4つのエリアで走らせています。そのいずれかに代わって国道を走り、隣の頓原地区まで自動運転車両が運行できるようになれば、財政面での問題もクリアできるかもしれません。

大手出版社が発行する田舎暮らしの本では、人口10万人未満のカテゴリーで“子育て部門”で飯南町は1位に選ばれたそうです。若い世代の移住者が増えつつある街に、自動運転という魅力がプラスされることに期待は高まります。

■島根県飯南町ホームページ http://www.iinan.jp
■道の駅赤来高原 https://www.satoyamania.net/spot/2019/03/post-3.html