経済産業省・国土交通省は、中型自動運転バスによる実証実験に向けて、昨年度に5地域のバス運行事業者を選定し、今年度7月滋賀県大津市、兵庫県三田市にて実証実験を行ってきました。そして、10月上旬から21年3月上旬(実証実験準備期間を含む)のうち13週間で、茨城県日立市において実施されます。

ひたちBRTでは、2018年にも自動運転走行実証実験を実施しており、今回はこれに続く2回目の実証実験となります。今回の実証実験では、前回と比較して、自動運転車両と通信を行う路側センサーを新たに設置するとともに、遠隔監視装置を拡充します。
BRTとは、バス・ラピッド・トランジット(Bus Rapid Transit)の略で、ひたちBRTは日立電鉄の跡地をバス専用線として利用しています。2019年3月に第二期の延伸工事が完了し、道の駅日立おさかなセンターとJR常磐線常陸多賀駅の間を結ぶ専用道区間6.1kmを含む路線長が8.7kmの路線になっています。通常の路線バスのダイヤに追加して自動運転バスのダイヤを設定し運行。一般の利用者が広く利用する環境を作ることで、特別な移動手段ではなく通常の移動手段としてより多くの利用者に乗車してもらい、2022年以降の本格的な商用運行に向けた課題抽出を進めることを目指しています。
実証実験には、茨城交通、みちのりホールディングス、日立市、茨城県、住友電気工業、パイオニアスマートセンシングイノベーションズ、小糸製作所、コイト電工、KDDI、KDDI総合研究所が参加。本格商用実装に向けた取り組みとして、高い安全性と多様な環境下で安定した運行を実現するため、次の2点の技術が導入されます。
- 路側センサーによる自動運転車両との協調
専用道区間や一般道区間において、自動運転車両から見通しの悪い場所に、各種光学センサーや電波センサーを活用した路側センサーを敷設し、自動運転車両と通信することで自動運転車両の死角を減らします。これら路側センサーと前回実証にて検証した信号協調システムが連携することで、自動運転バスが安全に走行できる走行環境の構築とスムーズな定時走行を目指しています。これら路側センサーの設置は、住友電工、PSSI、小糸製作所、コイト電工の協力のもと実施されます。
- 遠隔監視装置
上記路側センサーや信号協調システムとの連携を含めた自動運転バスの円滑な運行を支援するため、KDDI、KDDI総合研究所から遠隔監視装置と遠隔に情報を送信するための通信環境を提供。遠隔監視装置では、自動運転バスの走行状況をカメラ映像や各種状態情報で確認することに加えて、車外に設置する路側センサーの稼働状態もモニタリングすることで、将来、自動運転バスが運行する際の運行管理の在り方についても検証が進められます。