SIP 自動運転 葛巻PDに続いて、日本自動車工業会 自動運転検討会の主査・横山利夫さんに、自動運転への取り組み、独自の活動内容、SIPとの連携などについて、SIP cafeマスター・清水和夫がオンラインでインタビュー。
日本自動車工業会(略称:自工会/JAMA): 1967年に前身である自動車工業会と日本小型自動車工業会との合併により、乗用車、トラック、バス、二輪車など国内において自動車を生産するメーカーを会員として設立され、自動車メーカー14社によって構成。2002年5月には自動車工業振興会、自動車産業経営者連盟と統合、2010年4月には社団法人から一般社団法人へ移行し、現在に至っています。
日本自動車工業会(以下、自工会)自動運転検討会の横山主査をお招きして、いろいろと話を伺いたいと思います。日本の代表的な大きな組織として日本自動車工業会がありますね。この大きなチームの中で横山さんは自動運転検討会の主査をずっとされているんですけれども、そもそもどういったところで、自動運転を意識されたのでしょうか。
横山:日本自動車工業会ですけども、二輪車、それから四輪の乗用車・大型車の製造販売を行っている自動車会社で構成されています。
日本自動車工業会として世界でもっとも安全、効率的で自由なモビリティ社会を実現しようということで、様々な活動を行っています。
自動運転に関しましては、2014年に自動運転検討会が立ち上がりました。
発足してまず、自動運転のビジョンというものを自工会として作っています。そのなかに、インダストリーとして協調で取り組むべき領域というのを定義していまして、その定義に沿った形で現在さまざまな具体的な活動を行っています。

自工会の協調領域、自動車メーカーという団体の協調領域は、SIP の協調領域と、具体的にはどういったところに違いがありますか。
横山:自工会の協調領域ですけども、SIPと連携しているところと、独自に活動している領域の2種類あります。
まず、クルマの保安基準を定める、そういったところに貢献するという活動については、自工会独自の取り組みになります。
その一方で、さまざまな内容の国際標準化であったり、協調して取り組むべき研究開発の領域については、SIP と連携しながら現在推進しています。
もちろん、その基準が甘すぎると世界と戦えなくなるし、厳し過ぎるとクルマのコストが上がってしまうので、非常にその安全基準のハードルの置き方というのは難しいと思うんですけれども。そのへん、自工会として苦労しているところなのかなと直感的に思ったんですけれども、いかがでしょうか。
横山:さまざまな法整備に関してですけれども、関連する省庁が主宰した検討会であったり、委員会であったり、様々なものがあります。
我々としては、インダストリーとしての意見やユーザー視点での意見を述べて、これらの法規制・法整備というものが、バランスがとれた適切な内容になるように貢献しています。
自動運転に関して、システムというべきかAIと言うべきか、人間ではなくシステムが運転したときに、人間よりも安全じゃないと、やっぱりこれは世に受け入れられないと思うんですけれども。それを、基準作るときに証明するというかですね、どのくらいハードルを高くすれば人よりも安全だということが証明できる、安心して世の中に出せるか。そのへん難しいところだと思いますけれども、横山さん、どのようにお考えでしょうか。

横山:我われが扱っている商品、モビリティですけども、ドライバーとかパッセンジャーの皆さんの命を預かっているということですから、安全が第一であるということは言うまでもありません。
自動運転の領域に関しては、システムがダイナミックなドライビングタスクを実行するということで、“how safe is safe enoughという言葉があるんですけども、どのぐらい安全であれば必要十分であるといえるのか、というのはすごく大きな課題であります。
この課題というのは、社会受容性の観点で世の中に受け入れられるということを最優先にしながら、我々も定めていく必要があるというふうに考えています。