自動運転について、キーパーソンに聞くオンラインインタビュー。 第1回はSIP 自動運転 プログラムディレクター 葛巻清吾氏 に、SIP自動運転の国際連携や社会にもたらす便益について、SIP cafeマスター清水和夫がオンラインで話を伺いました。

SIPは年に一度、国際会議を行っていますね。世界中の自動運転の専門家が集まってディスカッションしていると思いますけれども。やはり海外との協調領域、ここを考えているでしょうか。

葛巻:自動車というのは、自動車産業と言ったほうがいいかもしれませんけど、国内のマーケットだけで成り立つようなものではないんですね。国際的な商品ですし、また、中古車になると海外に出ていくということもあります。つまり、様々な面で国際連携をしっかりやっておかなければいけない。
かつですね、データを使っていこうとすると、そのデータのフォーマットであったり、インターフェイスであったりというのは揃えておかないと、日本では使えるけれど、海外では使えないというようなことが起こりますので。
国際連携というのは最初から意識して、データだけの話ではなく、クルマの使い方、HMI、ヒューマンファクターというところ、ほかのところも含めて国際連携はかなり意識してやってきました。

自動運転技術、自動車産業は国際連携、国際標準も重要

いわゆるISOのような、グローバルに使えるひとつの基準、標準化も、SIPはスコープに入れて活動しているということですね。

葛巻:ええ。いわゆるISOと言われるような、「デジュール」って言われるんですけど、そういう国際的な機関が定める国際標準というのも必要ですし、それをやるにはまた議論をしっかりしなきゃいけないため時間がかかってしまうので、業界標準というような形で、業界としてコンセンサスを取って、“こういう形で進めましょうね”というものもスピード感としては必要なってくるんですね。その両面をいま推進しています。

一般の方に社会受容性という考えで、わかりやすく自動運転の世界を理解してもらおうと思うと、今度ニーズ側の話も出てくると思うんですね。いわゆる業界標準、国際的な基準標準、いわゆるデジュール側と、実際にユーザーがどういうものが欲しいのかというニーズ側。ある意味、デファクトと言ってもいいと思うんですけども、その両面からおそらく新しいモビリティ社会価値技術っていうものが出てくるのかなと思います。
最後にですね、自動運転車あるいは自動運転社会、葛巻さんの頭の中ではどんなものを描いていますか。

葛巻:自動運転っていう技術というのは、最先端のところの技術ですけれども、ここでいろいろ検討しているものは、皆さんに使ってもらう、一般のクルマにも波及していく技術だと思っています。
そういうデータをですね、地図もそうですし、いろいろなクルマのデータから取られたものによって、例えば踏み間違いのアルゴリズムを開発しようという考え方だったり、様々なものが今回のこの取り組みの中で推進されると思うんですね。
当然、自動運転そのものが、ものとなって出て行って走るというのも重要ですけれども、それはそれでまあ様々なハードルもありますし、ちょっと先にそういうものが実現。この努力を続けてるんですね、出てくるんだろうなぁと。
でもそういうところまで待てないような、喫緊の課題ですね。例えば過疎地の移動をどうするっていうようなところはですね、ゴルフカートのような自動運転を活用して実際に運用してみて、問題をそこでつぶしながら実用化していくっていうような取り組みも必要だと思いますね。ですから先端のところも必要ですし、実際の現場のところで活用してみて問題を出していくと、両面が必要なんじゃないかなと。

完全自動運転を目指すことで、いち早く実用化される技術も生まれてくる

そうですね。まぁ1年後2年後に必要とされているものと、あるいは5年10年先の新しいニーズ、そこのスコープまで、非常に広いスコープと、手前のスコープと、いろいろな見え方があると思いますけれども。非常に、自動運転の世界期待が大きいだけに大変だと思いますけども、引き続き開発を期待しています。

自動運転技術によって様々な課題が解決され、新しいモビリティ社会が見えてくるでしょう