自動運転について、キーパーソンに聞くオンラインインタビュー。 第1回はSIP 自動運転 プログラムディレクター 葛巻清吾氏 に、SIP自動運転の取り組みや活動内容について、SIP cafeマスター清水和夫がオンラインで話を伺いました。
SIPというプロジェクトは、府省連携、オールジャパン、産官学で進められていると思いますけれども、そのSIP全体の話。一体どういう意味があるんでしょうか。
葛巻:SIPっていうのは、Strategic Innovation Promotion Programの略でして、戦略的イノベーションの創造プログラムというものです。
これは、府省連携、そして産官学連携という形で、研究・開発から実用化、事業化までを取り組もうというプロジェクトです。
現在はですね2期目に入っておりまして、1期が2014年から2018年で、2期が2018年から2022年。テーマは12テーマあって、防災・減災、健康・医療そして農業、海洋、エネルギーなど12の課題があります。そのうちのひとつが自動運転です。

第1期では様々な協調領域を切り取って、そこに国費を使ったR&D、開発を進めていこうというプロジェクトだったと思います。この協調と競争の領域、とくにSIPが第1期で成し遂げたものというのは、どんなものがあるでしょうか。
葛巻:自動運転のための、データの大変重要なところに、地図があります。高精度3Dの地図を準備しておいて、そして自分が持っているセンサーとで照合して自分の位置を決めるというような形で自動運転のクルマを走らせていくんですけれども、そういうための地図を、各社がバラバラで作るのではなくて、みんなで一緒になって作ろうということで、どういうような地図を、どういうものを図化してデータとして作って、それをどれくらいの精度で準備するかということを議論しながら、今現在ですね、必要なデータというものを作って出す会社として、ダイナミックマップ基盤株式会社というものができました。

SIP第2期はどういったところを、主にフォーカスとしているのでしょうか。
葛巻:協調というところの取り組みは、1期と同じで、業界として必要なところはどこかということを議論しながら進めています。
ひとつはその今まで作ってきた静的な高精度の地図の上に乗せる情報として、動的なもの、これはダイナミックマップというものの言葉の意味ですけれども、例えばそこに信号情報を地図の上に乗せていくとかですね、あるいは規制情報とか、落下物の情報とか、そういうような情報をどうやって作って、それを地図の上にのせるかということを行っています。
そういうことを、実証実験を通して有用性とかですね、そのデータが本当に使えるものがどうかということを、皆で検証しているというのが第2期になります。

新型コロナウイルス感染症の問題で、実証実験が一時的に止まっていたと思いますけれども、最近また再開したということで、SIP とすれば、その実証実験を粛々と、現在進行しているという状態だと思います。
今の話を伺うと、ビッグデータにかかるところなのかなという印象があるんですね。様々なクルマのセンサーから得られた、デジタル情報を、クラウド、通信使って、そこを上手く、モビリティ、交通全体のシステムを変えていこうというお話ですね。
葛巻:そうですね。現在、政府が、Society 5.0ということで、サイバー空間の情報とフィジカル空間でリアルなものというものを融合して、経済的な発展とか、社会的課題を解決しようという考え方がSociety 5.0なんです。その中でこの自動運転っていうのは、データとしては、先ほど説明したような地図であったり、クルマから出てくる情報をもっと活用しようとかですね。様々なデータを活用するのための活動。これが協調領域という形で、SIP自動運転のいま行っている研究開発の主なところになります。

このSIPの第1期、第2期の進捗でみると、ついにデータによって様々なことは、新しい価値が可能なっていくということで、それが意味するところのSociety 5.0で、あるいはIoTという世界になっていくのかなという気がいたします。