2019年11月30日から、本格的な自動運転サービスが開始された『道の駅 かみこあに(秋田県北秋田郡上小阿仁村)』。実際に、自動運転サービスがどのように運用されているのか、現地を訪れ、取材してきた模様をお届けします。(2020年2月に撮影しています)

ここ、道の駅「かみこあに」では平成29年12月3日から12月10日までと、平成30年12月9日から31年2月8日まで長期の実証実験が行われており、路面積雪時の走行で埋設された電磁誘導線や磁石の読み取り性能や、ビジネスモデルなどを検証してきました。
今回の自動運転サービスの社会実装は、サービス開始日を11月30日からとし、地域の意見や運行時期の特性等踏まえながら、運行計画を随時見直すことも予定しているとのことです。

走行ルートは道の駅「かみこあに」を拠点とした各集落を結ぶ全長約4kmで、自動運転車両はヤマハ製の7人乗りタイプ。運転手は地元のボランティアが乗車するものの、ハンドル等の操作はせず運行を監視します。高齢者の送迎、農作物や日用品の配送など、地域の生活をサポートし、自動運転サービスが定着することへの期待が膨らみます。

乗務員は安全運行を監視。ハンドル操作を行うことはほとんどありません 道の駅内に運行管理センターを設置。車両の運行をリアルタイムで見守ります
自動運転車両は7人乗りの電動ゴルフカート「こあにカー」。村民への周知を図るため、同村の小中学生と保育園児を対象に愛称を募集して名付けられたものです。冬季はスタッドレスタイヤ+チェーンは必須。寒さ対策として暖房が欠かせませんが、走行用のバッテリーとは別に暖房用のバッテリーを後部に搭載する工夫も見られます。
こあにカーは電磁誘導線に沿って最大でも時速12kmでゆっくりと走ります。道の駅から一番離れた堂川地区へ向かうルートに最大の特徴があります。冬場は雪に覆われた田園地帯に自動運転車両専用区間を設け、完全な自動運転を実施しています。同区間には一般車両が入らないよう簡易信号、迂回を促す看板が設置されています。

この堂川地区に向かうルートと並行して国道が通っており、路線バスが日に数本走っている程度。しかも降雪時には国道沿いのバス停まで歩くのは容易ではありません。偶然にも取材時に堂川地区から道の駅まで来た高齢の女性グループに出会いました。この日はみんなで食事をしに来たそうです。こあにカーの印象を聞くと、「足腰が悪いので助かります」「雪が積もると外出するのが難しい。自動運転車があることで、機会が増えます」といった声が聞かれました。
『高齢者の方々を道の駅「かみこあに」や診療所などへ送迎し、日常的な生活の足を支援する』『上小阿仁村や福祉協議会の実施する高齢者を対象とした事業との連携』『貨客混載によ理、道の駅への農産物輸送、道の駅や地元商店からの商品配送で利便性を確保』といったビジネスモデルに加えて、移動手段がない方の自宅へドア・ツー・ドアの運行や、希望の多いコンビニエンスストア等のルート追加、路線バスとの連携を図った運行など、村民の声に耳を傾けながら利便性の向上をつねに検討しています。

■走行ルート:
①小沢田・堂川ルート:往復5㎞/43分
②小沢田・福舘ルート:往復4㎞/35分
③小沢田周回ルート:往復1.9㎞/20分
※地域の意見や運行時期の特性などをふまえながら、運行計画など随時見直し予定。
■運行スケジュール: 定期便:午前1便(平日) デマンド:定期便以外の時間(9時~16時:平休日)
■運賃・運送料:200円/回

「道の駅かみこあに」基本情報
◆所在地◆ 〒018-4421秋田県北秋田郡上小阿仁村小沢田字向川原66-1
◆連絡先◆ TEL0186(77)3238/FAX0186(77)3210
◆駐車台数◆ 99台
◆営業時間◆ 物産センター(売店)9:00~17:30 冬期間(12月から3月まで)9:00-17:00/秋田杉の館(食事処)10:00~18:00
◆定休日◆ 年末年始(12月31日・1月1日)
◆主なアクセス方法◆
【鉄道駅からのアクセス】
JR秋田駅からクルマで約70分
JR鷹ノ巣駅からクルマで約30分
秋田内陸縦貫鉄道米内沢駅からクルマで約15分
秋田内陸縦貫鉄道阿仁前田駅からクルマで約25分
【高速道路からのアクセス】
秋田自動車道 五城目・八郎潟インターからクルマで約30分
東北自動車道 十和田インターからクルマで約70分
【空港からのアクセス】
大館能代空港からクルマで約25分
秋田空港からクルマで約90分