
戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」では、第1期に続き、さらなる自動運転の社会的受容性の醸成に向け、自動運転に関する市民の理解向上を目的に、市民ダイアログを開催して4年目になります。
今回は8月5日に長野県伊那市(気の里ヘルスセンター栃の木)で市民ダイアログを開催しました。伊那市の住民21名と、SIP自動運転関係者3名および有識者によって、移動に関する課題やニーズ、自動運転への期待や不安について、対話形式でグループ討議を行い、伊那市の理想の未来像について意見を出し合い、自動運転社会に対する理解を深めました。

伊那市は昨年、自動運転バスの実証実験を行っているほか、ドローンを使った物流の推進、自動化を取り入れたスマート農業などに積極的に取り組んでいます。そうした背景もあって、自動運転への関心も高いようで、さまざまな要望や意見が出されました。
話し合いのテーマは、「移動・交通に関する課題・ニーズの共有」「これからの移動・交通のあり方、自動運転への期待、不安」。参加者は高校生・大学生から子育て世代、免許返納を検討する高齢者、公共バス事業者、農業や林業に従事する方まで、多様な顔ぶれ。それぞれの立場から見た移動・交通に関する課題、自動運転導入に向けての期待などを発表し、ディスカッションを重ねていただきました。

「クルマがないと病院や買い物に行くのも不便」
「バスの便数が少なく、1本乗り遅れると遅刻してしまう」
「これまで移動手段がなく外出を控えていた人も多い」
といった現状の不便さから、自動運転への期待は高いようで、
「無人の自動運転には不安を感じる。子供や高齢者だけで乗せて大丈夫か」
「安全性は確保されているか、万が一事故、急病人が出た時の対応は?」
という課題も挙がりました。

最後に、SIP自動運転サブ・プログラムディレクターの有本建男氏より「今日は本質をついた意見、皆さんの日々の生活や仕事を通じて感じたリアルな声をたくさん聞くことができた。地域によって抱える問題はさまざま。これが大事で、今後もっとエリアを広げて活動を続けていきたいと思います」という言葉で、市民ダイアログを締めくくりました。
