最新モデルが続々登場

SIP-adusの一環として、自動運転や高度運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)を搭載した最新モデルを一気に試乗する機会を得た。

試乗車は、プロパイロット2.0搭載の日産「スカイライン」、アイサイトX搭載のスバル「レヴォーグ」、アドバンスドドライブ搭載のトヨタ「MIRAI」、そして、ホンダセンシングエリート搭載のホンダ「レジェンド」の合計4モデルだ。 

東京のお台場をベースキャンプとし、北は東京と千葉の県境付近、南は横浜港、そして首都環状など、各メーカーが設定した走行ルートに多少の違いはあったが、助手席に開発担当者らが同乗して各種説明を受けながら、1ルートあたり約1時間半と十分な距離と時間で各モデルを体験することができた。

こうした乗用車について、SIP-adusなど自動運転に関する産学官での研究開発の領域では、「オーナーカー」と呼び、バスやタクシーなど公共交通の「サービスカー」と区分している。

オーナーカーではこれまで、高度な運転支援システム(ADAS)の領域として、自動運転レベル2において様々な機能が追加され、その性能は日進月歩で進化している。さらに、ホンダが世界初となる自動運転レベル3での型式認証を得たレジェンドを市場導入した。

SIP-adusとしてはこれまで、オールジャパン体制で臨んだ高精度三次元地図のダイナミックマップなど、オーナーカーに対する自動運転やADASでの協調領域を拡充してきた。

また、日本の関係各省庁は国連欧州経済委員会における道路交通法に関するワーキンググループ(WP1)や、道路運送車両法に関わる自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において、世界の国や地域と数多くの課題を協議し実用化への道筋を築いてきた。

こうした中、2020年から2021年にかけて、ADASによる自動運転レベル2や自動運転レベル3のオーナーカーが続々と登場してきたことになる。

共通点と相違点

今回の試乗では、トヨタのアドバンスドドライブとホンダセンシングエリートが筆者として初体験だったが、その2モデルについても先回の試乗はそれぞれ数カ月前だったこともあり、各モデルの共通点と相違点をしっかり体感することができた。

まず、共通点については、ハンズオフ走行時の安心感の高さだ。

時速80㎞での自動運転レベル2での巡航では「まるで自動運転」と錯覚してしまうほど、周囲のクルマや道路インフラと自車との位置関係や加減速の度合いが、実に自然である。単なるACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)や、LKAS(車線逸脱防止装置)という領域を明らかに超えていることを改めて実感した。

相違点は、各種機能を使うための操作方法だ。ステアリング周辺にある各種スイッチの位置、スイッチを押した後の操作の流れと画面表示など、いわゆるHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)での競争領域として各メーカーの特色が出るのは当然だ。

見方を変えると、そうした操作方法の違いに対してユーザーが戸惑うことも考えられる。例えば、ホンダセンシングエリートでは前車に追従する際の前車との距離の設定がワンアクションではなく、ひとつ深い階層に入っており、これは通常のホンダセンシングとも違う設定である。

無論、こうした違いについてある程度の時間があればユーザーは慣れてくるし、実際に今回のそれぞれ1時間半の試乗の後半では、筆者自身も操作に慣れてきた。ただし、それは助手席に開発担当者らがいて、こちらの疑問に対してすぐに返答してくれたから、こちらも学習効果も高まったといえる。

今後の課題

では、今後についてだが、大きく2つの課題があると思う。ひとつは、ユーザーのADASや自動運転に対する過信だ。

国土交通省によると、ADASの使い方を正しく理解していない、またはADASを「あたかも自動運転」というイメージで機能を過信して事故などが発生する事案が継続的に報告されているという。

今回の試乗でも改めて感じたが、各モデルで装備されている機能をフル活用すれば、長距離移動でユーザーは体力的かつ精神的に負担はかなり軽減されることは明らかだ。だが、それがユーザーの気の緩みにつながっては、元も子もない。ユーザーと直接対応する販売店では、ADASや自動運転機能についてキメ細かい対応が求められると、強く思う。

もうひとつは、実勢速度と法定速度との速度差だ。

今回の試乗は平日の日中であり、試乗中に周囲のクルマの流れが法定速度に対して極端に高いという状況ではなかった。だが、夜間になると首都高湾岸線では、法定速度の1.5倍から2倍以上で走行するクルマに頻繁に遭遇するのが実情だ。

今回試乗した4モデルは、ACCの設定速度がメーカーによって違いはあるが、どのモデルでも法制速度よりかなり高い設定も可能だ。

これが将来的に全速度域での自動運転レベル3となると、「法定速度の厳守」を自動車メーカー各社は前提としており、実勢速度との速度差にユーザーが戸惑うことも考えられる。

その場合は、欧州で先行して進む、通行する全車への法定速度超過に対する警報、およびスピードリミッター機能の義務化について、日本でも採用時期の具体的な議論を進めるべきではないだろうか。

いずれにしても、直近での自動運転レベル2での機能の高性能化とレベル3の量産化によって、自動運転社会の実現に向けた具体的な課題が浮彫りなり、その解決に向けてさらなる技術革新が進み、また産学官による議論が深まることは良いことだと思う。