
こんにちは、SIP cafeにお越しくださり、ありがとうございます。
私は当カフェのマスター、清水和夫です。
本業は自動車ジャーナリスト。クルマとの付き合いはモータースポーツがきっかけで、いまでもラリーやレースに参加しています。かれこれ40年以上もハンドルを握ってきました。走った距離は250万km以上、世界主要国の交通環境も経験してきました。すべての経験を活かして、近年は安全と環境問題に強い関心を寄せ、未来の自動車はどうあるべきか、期待と不安を抱きながら考えるようになりました。
自己紹介はこのくらいにしますが、そもそもSIPとは何か? というところから本コラムの最初の話をお届けしたいと思います。まず、SIPはStrategic Innovation Promotion Programの略。戦略的な革新事業と、難しい名前がついていますが、このプログラムは正真正銘の国家事業。単独の省庁や企業、研究機関では到底成しえない技術や社会システムのイノベーションを実現するプロジェクトなのです。したがって、SIPは府省連携、民間企業と研究大学機関をワンチームに編成し、オールジャパンで取り組んでいます。行政も民間企業も「縦割り」と言われて久しいですが、様々なテクノロジーが複雑に絡み合う現代社会では、横連携がいかに大切なのか痛感しています。
SIPは2014年に第一期が始まり、当初は10個のプログラムが施行され、私はその中の自動走行のプロジェクトに有識者として参画しました。ユーザー目線、あるいは海外の自動車事情にも精通した目線で、本事業に対する意見を述べるのが主な仕事でした。
自動運転は従来の技術だけでは達成できないことは火を見るよりも明らかです。自動車メーカーにとっては、いままで経験してこなかった新技術の領域に足を踏み込むことになります。第一期では自動運転に資する技術を協調と競争に取り敢えず切り分け、協調領域の技術をオールジャパンで開発することが不可欠だと考えられていました。その司令塔となるのがSIPの役割だったのです。SIPの第一期は調査と研究が目的でした。
しかし、2018年にSIPも第二期を迎え、さらなる高みを目指して動きだしました。その象徴が第一期で達成した技術を使って、どんなサービスが可能なのかを考え、実践するのが第二期の役割です。そのためには自動運転を社会に取り入れるとき、ユーザーがどのように受け入れるのかを真剣に考える必要があるわけです。
専門的には「社会的受容性の醸成」というコンセプトです。
難しい言い方ですが、自動運転が社会にどのように受け入れられるのか、あるいはどんなニーズがあるのかを論理的に考えるのが第二期の目標のひとつです。このウェブを使った自動運転の情報発信も、単に発信するだけではなく、イベントを通じて双方向で対話してみたいと思っています。SIP cafeは未来社会のショーケースとなり、皆さんとコミュニケーションできる場でありたいと思っています。
そのために、SIP cafeでは、わかりやすく、楽しいサイトを目指します。私も初代マスターとして連載を始めていきますので、末長くお付き合いください。