携帯電話を保持しての通話や画面の注視、そして、それらをしたことで事故を引き起こした場合に決められている道路交通法の違反点数と罰則が、2019年12月1日から強化された。

通話や画面の注視しながらの運転は、違反点数が3点、反則金が1万8000円(普通車)に。さらに事故を起こした場合は、同2点から6点、こちらは反則金はなく、即、罰則で1年以下の懲役または30万円の罰金と、それぞれ3倍ほどの引き上げられたことになる。条文には、

「自動車又は原動機付自転車を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」

とある。ここで気になるのは「注視」とはなにか? ということだ。道交法の条文には「何秒以上見つめたら取締りの対象になる」とは、一言も書かれていない。

警察庁のHPには、「2秒間」に進む距離の説明と危険性が載せられている。ただ、この「2秒間」は、あくまでも各種の研究で、運転者が危険を感じる秒数として報告している数字というだけだ。取締りの基準ではないのである。

警察庁には「個別具体的に対応する」という便利な言葉がある。ひねくれた私などはこれを聞くと、答えをはぐらかされたような気分になることもある。ただ、今回の「注視」については、まさに個別具体的でないと対応できないはずだ。

なぜなら、危険はそのときの交通環境によってそれぞれ異なるからである。2秒間で進む距離は、時速60kmで約33mだが、渋滞にはまった時速5km程度なら約3mだ。歩行者や自転車が通るような道、夜や雨や霧といった状況でも、事故の危険性は大きく変わってくる。

それに、ちらちらと絶えず繰り返し画面上に視線を落とせば、本来の運転者の義務である周囲監視ができていえるとはいえない。これも注視という言葉を「周囲の状況を把握できない状況を生み出す行為」としてとらえるならば、一回に見つめ続ける時間に関係なく取り締まるべきである。

自動運転のレベル3が実現すれば、こうした周囲監視義務から解放される(システム運転時のみ)。けれど2019年12月現在の今は、どれだけ運転支援装置の技術が向上しようとも運転者に周囲監視義務がある。そのことを、肝に銘じておきたい。